( 内調 )

「 おう、秀一呼び出して 悪かったなッ 」
「 お前が下手から そんな物言いする時は ろくな話じゃねぇだろ 」
「 よく判ってんじゃねぇか 」
「 実はな、お前にも出資して貰った 俺達の会社の事なんだ 」
亘の言う 会社とは 俺が溜め込んだ電気を ひとまず巨大な蓄電池に移し
それを動力源に新しい汎用充電パックを生産する工場の事で
                 そこでの利益を基にして研究開発費を捻出し
あわよくば 濡れ手で粟を狙った 危うい会社である事は間違いない
何故、危ういと言うかといえば 運営母体を俺の能力、俺の存在に大きく依存する点にある
さりとて 俺にとっては 現時点で考えられる 元の体に戻る為の 唯一の方策であり
亘にとっては 制約を受けずに 研究に没頭できるチャンスであった
こうして 二人の利害の一致を実現する為に エレ・パックという会社を立ち上げたのだ
「 でな、会社の設立資金の大半を
         俺( 亘 )の遠縁の叔父に 資金援助をして貰ったのは知ってるよな 」
「 その叔父から昨日、電話が有ったんだが
         仕手戦で穴を開けちまって 未公開株を誰かに譲ったって言うんだ 」
「 そこで相談なんだが 株の譲渡先の出かたにも拠るが
        経営権を譲り渡すか放棄して バックレ様かと 考えているんだがな 」
「 お前の、
( 社内アナウンス ) 多田倉さん、・多田倉さん、受付にご面会の方がいらっしゃってます
「 ちょっと 行ってくるから お前の考えを まとめといてくれ 」 バタン、
亘が 受付に出向くと 受付横に スーツ姿の男性が二人立って居た
軽く会釈を交わすと「 はじめまして 多田倉 亘さんでしょうか? 」
「 わたくしは 槇村で 後ろの連れは 三木と申します 」と名刺を差し出す
「 あっ、ご丁寧にどうも 多田倉です 」
宣は名刺を眺めながら「 内閣調査室次官が 私に 何か? 」
「 突然にお邪魔して 申し訳ございません 」
「 実は、今日お伺いしたのは エレ・パックの件について 話合いをと思いまして 」
「 少々、お時間を頂けますでしょうか? 」 
「 はぁ? 宜しければ 僕の研究室で お話を伺いたいと思いますが 如何ですか 」
「 はい、そちらでけっこうです」
宣は腕を指し示し「 では、どうぞこちらヘ 」
「 エレ・パックの件については
      丁度、共同出資者の沢嶋も研究室に来てますから 一緒にという事で 」
「 承知しております 」・・・?
コン、コン、「 秀一、入るぞ、」
宣は二人を研究室に招き入れると「 秀一、こちらは 内閣調査室の槇村さんと三木さんだ 」
「 はじめまして 槇村です 」「 三木と申します 」
槇村が口火を切った
「 唐突では有りますが 先ずは お二人の立ち上げたエレ・パックの株式を
                   わたくしどもが 取得した事をお伝え致します 」
秀一が「 何故? 内閣調査室が? 」
 槇村は尚も話を続ける
「 私共、内閣調査室は 世間では 情報誌のスクラップをして 給料を貰う
                        昼行灯などと言う噂もございますが 」
「 実態は、密かに国益を睨んだ活動をしっかりと展開しております 」
「 ついては 今回、エレ・パックの株式を取得するにあたり
             株式自体の価値は無きに等しい事も 承知しておりますが 」
「 国家予算を投じてでも 御社を外敵から守るのは 国益に適うと自負しております 」
「 さりとて 投資に対する効果を最大限引き出すには
             多田倉さんの頭脳と 沢嶋さんの特殊能力を必要とします 」
「 俺の頭脳って言うのは判るが 沢嶋の特殊能力ってなんなんだよ 」
「 惚けられるのは 当然とは思いますが、当方の調査も侮って貰っては困ります 」
「 三木君、報告書を、」「 はっ、」
三木はブリーフ・ケースから書類を取り出し 二人に一部づつ手渡した
「 ご覧に成るとお分かりのように
       最近 お二人が頻繁に利用している
              本社の情報室での お二人の会話を印刷したものです 」
「 納得して 頂けましたか、」
「 ですから 是非とも お二人のご協力を仰ぎたく 伺った次第です 」
「 さて 今後についての 当方の提示する条件としては 」
「 株式会社エレ・パックは 対外的には
        現在、お二人がお勤めの電力会社の子会社として運営して行きます 」
「 又、エレ・パック経営自体には 当方は 一切関与致しませんし
           お二人には役員待遇の報酬と経営決定権を保障致します 」
「 表立った お二人の身分については 現在のままで 勤務して頂き
     多田倉さんについては エレ・パックへの出向と言う形を取らせて頂きます 」
「 尚、必要に応じて 当方の要請を社内辞令を通して
              お願いするかと思われます事を ご承知置き下さい 」
「 このお話を お断りする事は出来ますか? 」
「 ご自由ですが、当方としても
       国家権力を振り翳す様な
          野暮は好みませんから 是非とも快諾して頂きたいですね 」
「 はっ! 最早、脚本有きという事ですか、」
「 そういう事で ご理解を賜りたいと存じます 」
「 すいませんが 二人だけで 別室で話したいのですが よろしいですか? 」
「 はい、こちらでよい返事を頂けることをお待ちしていますから どうぞ 別室の方へ 」 
バタン、
宣は 秀一を連れて屋上に出た
「 こんな所に来てどうするんだ 」
「 いや、室内だと 盗聴されてっかもしんねーしな 」「 さっきの書類か! 」
「 槇村って言うおっさん 第一印象は良かったんだが
                 なんとも嫌らしい物言いをしやがるぜ 」
「 で、亘、どうする! 」
「 あいつら、俺の能力を便利に使いたいだけだから
                元に戻る研究なんて物は 望まないと思うんだが 」
「 そのへんは 俺に任せろ あいつらから開放される手段として
                  必ず 元に戻る方法は見つけ出してやるから 」
「 だから 今後一切 この話は口にするなよ! 」
「 わかった 」
「 それに あいつらがお前の能力について
        どの程度把握しているのか判ってねーから 暫くは様子見って所だな 」
「 もし お前が元の体に戻っても 抹殺する様な必然性はねーしな 」
「 しかし、この所の人生展開は SF映画を見てるみたいだぜ 」
「 まっ、なんにしろ 今の所 国家権力さまに 楯突くのは不味いだろーからな 」
「 此処は 大人しく バンザイしとこうぜ 」
「 亘、お前、思慮深く成ったんじゃね 」「 いや、少しばかり賢く成っただけだ 」
バタン、
「 お待たせしました、話し合いの結果
            すべて あなた方にお任せする結論に達しました 」
「 そうですか!それはよかった 私も肩の荷が降りましたよ 」
「 今後の 細かい連絡は 此処に居る 三木が担当しますので よろしくお願いしますよ 」
「 では、私共は このへんで失礼します 」
・・・








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2017.02.20 Mon l リリカルSF小説 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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